top of page
アーリーさんの本棚
ハクメイとミコチ
樫木祐人『ハクメイとミコチ 1巻』KADOKAWA 2013年
「ハクメイとミコチ」は体長9cmの小人ハクメイとその友人ミコチの日常生活を描いたファンタジー漫画作品です。小人は森の奥深くにひっそり暮らしているイメージはないですか?ハクメイ達が暮らすのは「マキナタ」という大きな町。そこに同じ小人と話ができる動物達と暮らしています。
体長9cmだから色んな物が大きい。珈琲を入れるのも豆一粒でOK。鳥にだって乗れちゃう。そんな小人達の生活レベルが我々に近いから面白い。ハクメイとミコチは女同士の気楽な二人暮らし。仕事もあるし、休みもある。風車修理に石鹸作り。料理や買い物、居酒屋でちょっと一杯。鍋を囲んで日本酒を一杯やる小人なんて見たことない。どのコマを切り取っても楽しく、カッコいい漫画です。そして描写もさることながら、主人公はじめ魅力的な小人や動物達の人間模様が読者を作品に引き込みます。現在8巻まで刊行されています。
こんな世界で主人公達のようなスローライフを送ってみたい。きっとそう思わせてくれる作品です。
「ハクメイとミコチ」は体長9cmの小人ハクメイとその友人ミコチの日常生活を描いたファンタジー漫画作品です。小人は森の奥深くにひっそり暮らしているイメージはないですか?ハクメイ達が暮らすのは「マキナタ」という大きな町。そこに同じ小人と話ができる動物達と暮らしています。
体長9cmだから色んな物が大きい。珈琲を入れるのも豆一粒でOK。鳥にだって乗れちゃう。そんな小人達の生活レベルが我々に近いから面白い。ハクメイとミコチは女同士の気楽な二人暮らし。仕事もあるし、休みもある。風車修理に石鹸作り。料理や買い物、居酒屋でちょっと一杯。鍋を囲んで日本酒を一杯やる小人なんて見たことない。どのコマを切り取っても楽しく、カッコいい漫画です。そして描写もさることながら、主人公はじめ魅力的な小人や動物達の人間模様が読者を作品に引き込みます。現在8巻まで刊行されています。
こんな世界で主人公達のようなスローライフを送ってみたい。きっとそう思わせてくれる作品です。
ステップファーザー・ステップ
宮部みゆき『ステップファーザー・ステップ』講談社文庫1996年
この本は自分にとって一つの転機になった本です。ある日一人の泥棒がお金持ちの屋敷に忍び込もうと侵入を試みますが、不幸なことに雷に打たれてあえなく隣家に墜落。目覚めると泥棒は隣家に住む双子の男の子たちに看病されていました。双子は、両親が二人とも駆け落ちをしたので、泥棒に自分たちの保護者になることを依頼します。そんな泥棒と双子のドタバタ娯楽推理小説です。
高校生の時この本を読んでいたところ、隣席の同級生から貸してくれと頼まれました。この同級生、喧嘩もタバコも好きなTHE・ヤンキー。絶対、本を読まないだろうという風体だったのですが、恐る恐る貸してみると、数日後に「これ、めちゃくちゃ面白いな!」の一言。
その時、面白い本はやはり面白いし、どんな人にもその人が楽しめる本があるという発見をし、本を薦める面白さと喜びを知ることができました。それが今、司書という仕事を志すきっかけになったように思います。
この本は自分にとって一つの転機になった本です。ある日一人の泥棒がお金持ちの屋敷に忍び込もうと侵入を試みますが、不幸なことに雷に打たれてあえなく隣家に墜落。目覚めると泥棒は隣家に住む双子の男の子たちに看病されていました。双子は、両親が二人とも駆け落ちをしたので、泥棒に自分たちの保護者になることを依頼します。そんな泥棒と双子のドタバタ娯楽推理小説です。
高校生の時この本を読んでいたところ、隣席の同級生から貸してくれと頼まれました。この同級生、喧嘩もタバコも好きなTHE・ヤンキー。絶対、本を読まないだろうという風体だったのですが、恐る恐る貸してみると、数日後に「これ、めちゃくちゃ面白いな!」の一言。
その時、面白い本はやはり面白いし、どんな人にもその人が楽しめる本があるという発見をし、本を薦める面白さと喜びを知ることができました。それが今、司書という仕事を志すきっかけになったように思います。
落日燃ゆ
城山三郎『落日燃ゆ』新潮文庫1986年
この本は高校生の時に読み、いまだに印象深い本です。太平洋戦争期、首相・外相を務め、ただ一人文官でA級戦犯の犯罪者として処刑された男、広田弘毅。彼の激動の人生を史実に基づいて描いた歴史小説です。
当時、歴史や政治の難しい話は知らなかったし、読んでいてわからない箇所もあった。ただなぜ太平洋戦争が起こって、どのような経緯で終戦を迎えたのか。淡々と描かれる史実の中に、広田弘毅の奮闘と悲嘆が読み取れ、読み終わった後しばらく熱が冷めず、この城山三郎さんが描いた広田弘毅という人物に強く惹かれた記憶があります。
広田弘毅はまさに努力の人。堪能な英語力で外交官として活躍し、決して奢らず、真面目で物静かな人物として作中では描かれています。戦争回避に尽力するも、関東軍など軍部の暴走を止められず、GHQによる裁判で一切の弁明をせず処刑された広田弘毅。
歴史小説ですから創作もありますし、広田弘毅にも様々な見方があります。でもこの作品の広田首相の姿は、高校生の私に大きな影響を与えてくれました。今読めばまた違う印象を受けると思います。できれば若い人に読んでほしい本の一冊です。
この本は高校生の時に読み、いまだに印象深い本です。太平洋戦争期、首相・外相を務め、ただ一人文官でA級戦犯の犯罪者として処刑された男、広田弘毅。彼の激動の人生を史実に基づいて描いた歴史小説です。
当時、歴史や政治の難しい話は知らなかったし、読んでいてわからない箇所もあった。ただなぜ太平洋戦争が起こって、どのような経緯で終戦を迎えたのか。淡々と描かれる史実の中に、広田弘毅の奮闘と悲嘆が読み取れ、読み終わった後しばらく熱が冷めず、この城山三郎さんが描いた広田弘毅という人物に強く惹かれた記憶があります。
広田弘毅はまさに努力の人。堪能な英語力で外交官として活躍し、決して奢らず、真面目で物静かな人物として作中では描かれています。戦争回避に尽力するも、関東軍など軍部の暴走を止められず、GHQによる裁判で一切の弁明をせず処刑された広田弘毅。
歴史小説ですから創作もありますし、広田弘毅にも様々な見方があります。でもこの作品の広田首相の姿は、高校生の私に大きな影響を与えてくれました。今読めばまた違う印象を受けると思います。できれば若い人に読んでほしい本の一冊です。
旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。
萬屋直人『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。』電撃文庫2008年
自分の読書経験は、高校生時代に一番偏っています。この本も高校生時代にライトノベル小説です。舞台は「損失病」という病が蔓延し、世界中から「名前」が失われつつある現代社会です。「損失病」は罹患すると「名前・固有名詞」が失われます。人がかかると「名前」を失い、体から色素が失われ、やがてどこかへ消えてしまいます。そんな世界で日本人の「少年」と「少女」がスーパーカブに乗って国中をめぐり、様々な失われつつある人・物と出会いながら世界の果てを目指すお話です。
このお話の魅力はノスタルジーな雰囲気を漂わせながらも、爽やかな青春小説として描かれていることでしょうか。名前を失い、お互いが消えてしまうかもしれないという事実を知りながら、存在しない世界の果てを目指して旅を続ける二人。二人のやり取りは、笑いやラブコメ要素もあって軽妙で読んでいて楽しくなります。そんな二人が出会う人たちもまた病を患い、いつ消えるかわからない人たち。
このお話が高校生の私の、一番のお気に入りでした。
自分の読書経験は、高校生時代に一番偏っています。この本も高校生時代にライトノベル小説です。舞台は「損失病」という病が蔓延し、世界中から「名前」が失われつつある現代社会です。「損失病」は罹患すると「名前・固有名詞」が失われます。人がかかると「名前」を失い、体から色素が失われ、やがてどこかへ消えてしまいます。そんな世界で日本人の「少年」と「少女」がスーパーカブに乗って国中をめぐり、様々な失われつつある人・物と出会いながら世界の果てを目指すお話です。
このお話の魅力はノスタルジーな雰囲気を漂わせながらも、爽やかな青春小説として描かれていることでしょうか。名前を失い、お互いが消えてしまうかもしれないという事実を知りながら、存在しない世界の果てを目指して旅を続ける二人。二人のやり取りは、笑いやラブコメ要素もあって軽妙で読んでいて楽しくなります。そんな二人が出会う人たちもまた病を患い、いつ消えるかわからない人たち。
このお話が高校生の私の、一番のお気に入りでした。
世界一美味しい手抜きごはん
はらぺこグリズリー『世界一美味しい手抜きごはん——最速!やる気のいらない100レシピ』KADOKAWA 2019年
先日職場で見つけて読み、手放せなくなった一冊です。「一人暮らしの料理」「簡単」「ラクちん」という言葉に散々踊らされてきた私ですが、この本はたしかに素晴らしい「手抜き」料理本です。ポイントは「わかりやすくて美味しい」こと。
料理の工程や材料の切り方、調味料の分量が実物写真で細かく掲載されていて分かりやすく、入手困難な材料を使った料理はほぼありません。また調理時間も1料理30分程度。料理初心者にうれしい「簡単・短時間」が揃っています。そして何よりも美味しいんです。
紹介されているのは、カロリー高めの料理が多いのですがカロリーの多いものは美味しい。見るだけで美味しいだろうというのがわかる料理がたくさん紹介されています。
手軽でパパっと作れる美味しい料理。それは時に、高級フランス料理や懐石料理よりも一人暮らしの人間にはありがたいものだったりします。ちなみに職場の同僚の方(3人の子持ち)もこの本に掲載されていたカレーを作って出したら、今後はずっとこのカレーにして欲しいとせがまれたとか。おすすめの一冊です。
先日職場で見つけて読み、手放せなくなった一冊です。「一人暮らしの料理」「簡単」「ラクちん」という言葉に散々踊らされてきた私ですが、この本はたしかに素晴らしい「手抜き」料理本です。ポイントは「わかりやすくて美味しい」こと。
料理の工程や材料の切り方、調味料の分量が実物写真で細かく掲載されていて分かりやすく、入手困難な材料を使った料理はほぼありません。また調理時間も1料理30分程度。料理初心者にうれしい「簡単・短時間」が揃っています。そして何よりも美味しいんです。
紹介されているのは、カロリー高めの料理が多いのですがカロリーの多いものは美味しい。見るだけで美味しいだろうというのがわかる料理がたくさん紹介されています。
手軽でパパっと作れる美味しい料理。それは時に、高級フランス料理や懐石料理よりも一人暮らしの人間にはありがたいものだったりします。ちなみに職場の同僚の方(3人の子持ち)もこの本に掲載されていたカレーを作って出したら、今後はずっとこのカレーにして欲しいとせがまれたとか。おすすめの一冊です。
bottom of page